[ざく、ざく、]
[白い雪を掬い取って、大きめの玉にする。
そこから胴体と頭に大ざっぱに作りわけ、手袋を外した。
指先のあたたかさで解けるのを利用して、細かいカタチを整えていく。
雪で作った、文字通りの、雪の花]
[昔にも作ったことがある、と思った。
町に越してきて、初めての冬。
村ほどではないけれど、雪が積もったことがあった。
雪に覆われた噴水広場の近くで遊んでいると、誰かとはぐれたらしく、泣いている女の子がいた。
なんとか笑って欲しくて、僕は手袋もしていなかったのに、雪でいろいろなものを作って、ふたりして、目をきらきらと輝かせたっけ]
[細工の楽しさを知ったのは、あのときだったような気がする。
真っ赤な手で帰って、母には酷く叱られたものだけれど]