[久し振りに訪れたロッカールームを再び見回す。けれど、自身の私物どころかロッカーその物が見当たらなかった。]…ハインリヒ。体調は平気なの?――貴方に、これを。[ダーヴィッドのカルテは丁度真中辺りに来るようにしてそれを差し出した。渡す際に、一度だけ彼の紺青の瞳を真剣に見ただろう。]エーリッヒの…ものよ。彼が居ない今、貴方の力が必要なの。どうか彼の意思を――汲んで。