[アーベルの死を知り絶望し
仲間を止められなかった己を責めて
心閉ざしていた時のあの痛み。
失いはしないけれど忘れもしないけれど
アーベルに撫でられるたび、それがとけてゆくような気がした]
お前に撫でられる日が来るとは思わなかった。
[強がるようにそういう月色の獣の尻尾は
心あらわすかのようにゆらりゆらりと振られている]
―――く、はっ。
[からり笑いながらの軽口に思わず笑う。
涙の気配は薄れて、このままいつも通り在れたら、と]
身だしなみには気を使ってるからな。
撫で心地抜群だろ?
[常の調子をなぞるように軽口を返した*]