― 黒珊瑚亭 ―[団長の腕に走る銀。右手に刻まれた印には見覚えは無かったが。唯の噂と、熱心に語る影を追い払う影が脳裏に走る。其れは一体何年前の事だっただろうか][――あの噂が本当だと言うのなら、其れは][机に肘をついた両手を組み、額を押し付ける。想像に違わぬ言葉が団長から落とされ>>163一瞬詰めた呼気をゆっくりと吐き出した][去る背を止める事は出来なかった。顔を上げ、唯、見送るだけで]