ああ、もう、こんな時間だね。[皆が去ってゆくのに、今気附いたように云いました。カウンターの上に置いたままだった絵を手に取ると、くるくると巻いて筒のかたちにします。紙に画かれた世界は見る見るうちに隠れてしまいます。] ベアトリーチェも、帰ることにするよ。 エーリヒ、お話の続き、また聞かせてほしいな。[それから他の人たちに「お休み」と挨拶をすると、扉のそばで一度だけ振り返ってお辞儀をして、夜の闇の中へと駈けてゆきました。]