―洗面所―
[水を汲んで手にかけました。赤色が剥がれて行きます。
綺麗に落とした後で、今度はその手で顔を洗います]
……。えっと、ね。
団長さんが、亡くなったんだ。
[落ち着いた後で、漸く僕は口を開きました。
そこから朝からの顛末を伝えます。
悲鳴を聞いて目覚めたこと。自衛団員さんたちを見つけて後を追いかけたこと。血濡れの奥さんと、団長さんを目にしたこと。
ペンを用いて紙に起こせば、もう少しきちんと伝えられたかも知れません。
頭の中で懸命に纏めても、出てくる言葉はとてもたどたどしいものでした]
……怖かったし、悲しかった、けど。
でもね……僕は、良かったと思ってる。