[郵便屋は、それが自分の担当の範疇であるならばどんな依頼も受けるし、どんな場所へも届けに行く。
故に一所に留まることはほとんど無く、独自の近道やら何やらを駆使して縦横無尽に世界を駆け巡るものばかり。
それが郵便屋であり、自分もそうであるはず、だった。
だが、今の自分はどうしてもその国から動くことが出来ずにいて。
ただ呆然と、自分の目の前の光景を見つめていた]
…どうして。
[掠れた声、無意識の呟きが耳に届く。
自分の仕事は、笑顔を生むものしか無い。
大小問わず、喜びや希望につながるものだけで、争いや諍いとは無縁のはずだった。
けれど、今自分が身を置いている国に見えるのは、明らかなる負の兆候。
それを齎したのは、紛れも無く自分が届けたものだと解ってしまって]