[奏の身体が涼の腕の中から滑り落ちてゆくのを見て。ゆっくりと手を差し伸べた。二人にはもう届かない。だからこれは自己満足だと知っている]お疲れ様、HAL。[片手は奏の頭を撫でるように。本来HALの名前はあの「もう一人」のものらしいけれど、今のレンにとってのHALは、コエを共有した「Kanaの一面」だから]お疲れ様、赤猫。[片手は涼の頭を抱き寄せるように。労わるようにそっと額に顔を寄せた。触れるような距離から身を引いて、シャワー室へと消えてゆくのを見ていた]