[集中が乱れる。制御が利かない。獣の影が形を保てず、揺らぐ。具現化させたのは初めてなのだから、当たり前か。そんな事を考えながらも、かかる重みに視界が移り変わり、僅か呻いた]二人が死んで、再確認したよ。俺は、人間が嫌いだ。信じるなんて、幻想に違いない。人狼の騒ぎに、皆が如何踊るか、見たかった。お前は、お前を“信じている”人々を裏切って、如何だった。楽しかったか、黒き獣。[押さえつけられながらも、浮かぶのは歪んだ笑み。自由の効かない手を滑らせて、掴むのは、隠し持った刃]