─ 実験室 ─
[扉を見たところで、何か紙切れがドアに挟まっているのが見えた。
ダーヴィッドに負担が掛からないよう、そっと立ち上がり、扉を開いて紙を取る。何かの書類のようだ──とヘルムートの手元に、散っていた白い花弁が飛び込む。
廊下には、白い花の下、同じように様々な書類が落ちている。
──その内の一枚に、見覚えのある署名。
エグランティエ財閥の…ブリジットの父親のサイン。
別の一枚には、ヘルムート自身の父親の事務所の、第一秘書の署名。
驚いて思わず、ダーヴィッドの元へ戻りその話をしようとするが。]
…………。
タイムリミット か。
30分。
[先刻と比較するとマシだったが、ダーヴィッドの表情を見ると随分と遠くに居るように感じられた。]