―夜の広場―
[問い掛ける声に反応する素振りは見せない。
落っこちた柴犬の方には目もくれず、上空の人影を見据えている]
立ち去る気はないということね。
[人影をかすめた後、空中で掻き消える円盤を眺め小さく溜息。
と、その視界の中で、赤い火の粉が弾けた]
――面倒な。
[長いローブ故、やや重さを感じる動きで後方に退がりつつ、両手を上へ掲げる]
護りの白光!
[生じた白い光の盾が、降り掛かる火の粉を受け止める。
僅かな動きの遅れから、防ぎ切れなかった攻撃がローブに幾つか焼け焦げを作るが、気に留めることはない]