―住宅街・アヤメの家―
[下ろしたままにしている方の手に触れてくる柔らかい感触。
はたはたりと瞬いて司書の顔を見返し、ほんの少しだけ笑みを浮かべた]
いらなくなる?覚悟?
[兄の言葉には疑問が幾つも浮かぶが、落ち着いてからと言われればまた頷いて]
あ…んや、同じで。
紅茶も嫌いじゃない。
[どちらかといえば珈琲党なのだが、別に頼むのも微妙に気が引けて。
手伝うと席を立った司書と作家が二人台所に向かう背に言った。
配られた紅茶はとても美味しかった。
だが、一息ついた所で。気遣われながらも、変えようの無い現状の説明が兄から語られ]
…殺し合う…。
[カップを手にしたまま俯き、むっつりと黙り込んだ]