[彼が聖堂へと入ったのを見届けた後、マテウスは白い息を長く吐いた]
………………。
[相手が嫌いと言うわけではないが、好ましいとも思い難い。
妻と交流が増えたのは、彼女の幼馴染であるオクタヴィアンが村を出てからのこと。
会話の話題になったこともあるため嫉妬を覚えたこともあるし、村に戻って来た時の変貌にどこか安堵に似た思いを抱いたこともある。
尤も、相手が妻のことをどう思っていたかなど、知る由も無いのだが]
……………。
[しばし後、聖堂から視線を外し、雪道の整備へと戻る。
家族にも明かしたことの無い複雑な想いを、踏み固める雪のように深く、深く、胸の奥底へと沈みこませた**]