ふふ、その様子じゃ何か言われたのかい?
[ため息をつく蒼い青年から伺える事は幾つか。相も変わらずと言った風にも取れて。娘は頬杖をつきながら参る仕種をするアーベルに伺うが。]
ン―――… 流石に夏とは云え野宿という訳にも行かないだろうから、それは得策だよ
ちゃんと勤労するアーベル君は偉いのだね
[ぽふ、と頭を撫ぜる真似ごとをするとそれ以上身の上は聞かず仔猫のように眸を細め煙草ケースに視線を移した。]
煙草の好みは変わらなかったのかい?
[アーベルが愛煙している銘柄が選ばれれば代金を伝え硬貨と品物を交換した。銘柄は決して種類が少なくも無いが、買いに来る人の趣向は昔から覚えている。自衛団長である老年の男の煙草の話になれば貌を上げ、]
そうだね…先程買いに来て呉れたよ
御年を想えば控えるべきなのだろうけど―――
好きな物を辞める方がつらいのかもしれないね
[隠居後、酒や煙草の嗜好品をやめた途端にぽっくりいってしまったという話もある以上売り上げの事を思えば有難いと思う反面彼を思い遣る一面も覗かせ複雑そうに俯いた。]