−ラスの家−
[戻った時にはカルロスの姿はなく。
その代わり騒ぎに目を覚ましたお袋さんの姿があった。
戸惑い不安を訴える目に、ただ頷く。]
………大丈夫だ。
もうすぐ先生も来る。家で大人しくしていてくれ。
[詳しくは言わず、そう告げて薬の袋を渡す。
赤が幾らか移ったそれに小さな悲鳴が上がり、ようやく手の平から血が出ていることに気付いた。]
……ああ、すまん。
風で手を切ったようだ。
[ベルトポーチから血止めを出して塗る。
簡単に布で巻き、疾風に大丈夫だと撫でてその場を後にした。]