─ 雪原 ─[背後に音が聞こえたのと自慢の細剣が男の胸を貫くのは同じ瞬間のことだった。男はレナーテを抱きしめるように、レナーテは男に抱かれるように。ただ男の背中からは白く光る細い刃が天を向いて伸びていた。]……そうか。[微かに、そよ風にすらかき消されてしまいそうなか弱い声で、男が何かを呟いた。]これでお前の望みはこれで叶う。[ドサリと男の身体が崩れ落ち白い雪を赤く染めあげる]