[すたりと着地しながら足元の小石をひとつ手の中に握り締め、ヨウコもそれにあわせて追いかけてくる。]
『嗚呼畜生……人間同士なら、こんな優等生になんて負ける気はしないのに。と言うか眼鏡かけられてちゃアレ使えないじゃない、ったく。』
[彼女らしくない言葉で心の中で毒づきながら、それでも頭の中は妙な冷静さも確かに存在していた。一対一では不利なのは明白。それでも、時間を稼げば、誰かが気づく。気づけば、彼女がそれだとはっきりわかる、と。]
私は、私のままで外に出たいの。
私じゃなきゃ意味がないの。
――化け物なんかと一緒になって出たいなんて思うもんですかっ!!!
[跳躍、そして相変わらず伸ばされた手。嫌悪感を露に叫びながら、更に横へと転がる。]
[その時、風を切る音が聞こえた気がした。]