[階段を上り下りしながらアズマは考えていた。これは誰のためにしているのだろう。
弱い己が許せない。結局はそれにつきる。
宮町の痛ましい姿をただ黙って見守る強さもない。だから一緒に歩く。
そうすることで、彼女の苦しみをほんのかけらでも理解したかった。]
[足がもつれて転んでしまった時、声がかかった。
目を見開いて声の主を見る。宮町が厳しさを和らげた表情でこちらに手を差し伸べてくれていた。]
あ、う、うん。
……ありがとう、宮町さん。
すっげ、助かる。うれしい。
[うれしくなってこちらも頬が緩んだが、うまく笑えているのかわからない。
せめて声にだけはうれしさの感情がのっているといいなと思いながら、彼女の手を取った**]