[体から力が抜けて木に背を預け座り込む。
誰かが近づいてくる。
そして、何か、誰かが、怒鳴りつけている……いや、ただ話し掛けているだけだろうか。
耳に入る言葉がノイズに乱されて脳へと意味を伝えない。]
……すまないが、もっとゆっくり喋ってくれないか。
……上手く聞き取れないんだ。
[そもそも本当に声をかけられているのだろうか。
風の音がノイズとなって頭の中を駆け巡っているのではないだろうか。
だがそこに人がいるのは確からしいと、レナーテはゆっくりと顔を上げて口をもう一度開く]
そうだ……すまないついでに。
───その男を弔ってくれないか。
[レナーテの双眸からは確かに涙がこぼれていた]