おいまてよ。相手は男だぞ。俺も男だぞ。おい。
最初は気の迷いだと思っていた。しかし、しかし……
やがて思春期を向かえ、それなりに体も動き頭も悪くない、手先は器用だ、ただ性格は残念だったが口が悪いだけで素直な性根。家を継がないということもあって――いろんな女子から家族ぐるみでアプローチを受けたが、本人は見向きもせず。ただこの気持ちがバレてしまったら何もかもに迷惑をかける。だから、わざと名前を呼ばず、貴族様呼ばわり、お世辞にも好意的には捉えられないだろう残念な言動で距離を取ろうと試みていた。でも近寄れれば嬉しい。本当にどうしようもなかった。
あるとき、教会の懺悔室に入る。相手はまぁ、誰かは把握していない。どちらかだろう。ライヒアルトか、老神父か。
好きになってはならない人を好きになってしまいました。
それから暫くして。偶然縁を持つことになった国立大学教授の家に下宿し、そのまま奨学生になった。それからは向こうでそれなりに火遊びをして、「ああ、やっぱり俺はノーマルだった。あれは気の迷いだったんだな。さらば俺の10代青すぎる春」と事故解決に至った。
はずだった。続く。]