― 3階・主の寝室 ―
[子を抱え、真っ直ぐに向かう先は親の眠る場]
……少し、ごめんよ。アーヴァイン。
[親の身体を少しだけ移動させ、その横へ子を。
顔に散っていた紅をそっと拭い、胸元に手を組ませ。
それに握らせるように、揺れる銀と赤を収めた]
……護るつもりだったのだけどね。
それこそ、命に代えてもと思っていたのだけど。
……私には、ヘンリエッタが誰かを殺し続けるなんて、耐えられなかったよ。
[例えば、この館に残るのが二人きりだったとしても。
この館を出たその先でまた血濡れるのであれば]
ヘンリエッタは、優しい子だから。
きっと、泣いてしまうのだろうから。