[視界の端、幹に刺さった矢が目に入る。あぁ、誰かが気づいている。なら更に時間を稼げれば誰かが助けにくるはずと信じ、心を奮い立たせる。]貴女が何を我慢してたかなんて、私の知ったことじゃないわよ。そもそも、誰だって我慢なんてしてる。貴女だけじゃない。[せせら笑うかのように。]――化け物に化け物といって何が悪いの。人を食おうとする、それが化け物じゃなくてなんだって言うの。[言いながら体勢を整え、すぐさま手の中の小石をヨウコの顔めがけて投げつけた。]