[探してみても、ここにもない…。自分の荷物――…パスケースと、そこに入れていた試薬。あれさえあれば…。]…よかったんだが…ね。[覚醒と共に思い出してきた記憶と同時に、身体も一つの症状を、思い出してしまった。ケホ…零れた咳は一度始まるとなかなか止まない。片手でラベルを探りながら、音が外に漏れぬよう*口元を覆った。*]