さくらが、さくのは、だれかの、せいを、すいあげた、とき…。
さくら、さくとき、わざわい、あれり…。
そは、あかき、きょうらんの、うたげ…。
[怯えるような瞳。紡がれる言葉は口伝で聞いたものと、自分が小説で使ったもの。小説の部分は誇張も入っているのだが、それさえも事実認識してしまいそうで。僅かに意識が混濁する。震え、両手で両腕を抱えた。
直後、傍に来ていた蓮実の手が榛名の肩に置かれる。顔を覗き込まれ声をかけられると、ブレかけていた瞳の焦点が蓮実へと合わさった]
は、すみ、くん…。
……ほんとう、なの?
あやのが……。
[確認しようとして、その先は言えなかった。口にしたくなかったのと、蓮実からも事実だと告げられたがために]