―東の泉→館方面―
[まぁハンカチは見つかって、そこの泉に沈めてから赤くなった方の手に乗せたんだ。
冷たさにほっとしたけど、まだ痛ぇ。
どうにかなんねぇかなと思ったあたいは、館の方へと向かったんだ。
あたいの勘が、そこに何かあるって言ってたからな!
そんなわけで何とか館のほうに向かったんだけどさ、ちょっとした"ふちゅうい"で館から出てきた奴とぶつかったんだ。]
っ!
[いつもの勢いでぶつかったらあたいのが転んでたんだけど、今の調子じゃそういう事もねぇ。
少しよろけただけで何とか助かった。まこういう時は便利だよな。
ぶつかった相手は、あたいの知らないおっさんだった。あんま見たことねぇ感じもするけど誰だ?
おっさんはあたいに大丈夫かって言ってきたけど、あたいは首を振るのでせいいっぱいだった。
くっそ、上手く喋れねぇ。
大丈夫なんだけど、そいつが上手く伝わらねぇのはヤだな。
そんな訳でちょっとまごついてたあたいだったんだけど、おっさんは何を思ったのか目敏くあたいの手に気づいたみたいでさ、手を見せろっつーから大人しく出してやった。
その手におっさんが手を重ねると、ちょっと手が暖かくなった。]