だって、なぁ……面倒だろ、なんというか。[>>254 はあ、と大げさなため息が零れた。ハインリヒの内心などは気づく由もなく。受け取った石──蛍石に、天鵞絨を一つ、瞬いた]へぇ、蛍石。……ん、それならありがたく頂戴しよう。[蛍石、と聞いて僅かに声が弾む。あまり石の類には興味を示す事はないのだが。蛍石だけは昔から──それこそ、子供の頃から気に入っているものだった]