―集会場・広間―
[集会場に着くまでの道中では殆ど口を開かなかった。
小説家の女性もそう口数の多い方ではなさそうであり、淡々とした移動になっていたかもしれない。
集会場周辺の光景は酸鼻なもので、自然表情は強張ったものとなってゆく。兄の勧めに従って中へと入る]
…ああ、先輩。
ほら、アヤメさんも無事。
[俄かな知り合いより、付き合いの長いお隣さん同士の方がいいだろう。まだどこか蒼い顔の作家のことは先輩に任せることにした]
ナターシャさんは後から来るって。
捜したい人がいるんだってさ。
[生存者は居ないのではないかと問われれば、苦い顔で肩を竦め]