[あれからゲルダがなくなり、しばらくして解放するとの旨が届けられた。残りの細々したことははっきりいって知らない。いちいちこちらがめんどうみるつもりがないからだ
そして自分の荷物をまとめて、今はここにいる。…なんでか最初に来たときよりやたらと荷袋の数が三倍になっていたり、膨らんでいたりするのはご愛嬌
ここに来た理由は、終わったという報告と。そして別れ…いや旅立ち前の己の心の整理のためだ。そしてあたかもそこにいるように話しかける
降霊と呼ばれる儀式。ながい流民生活でみた胡散臭い演技か本物かもわかりもしない行為にも劣る稚拙だろうけれど]
そういや、最初は警戒してたよな
[まあそれも仕方あるまい。なんでも楽団の人間にファンがいるらしいが、この客。いつも興奮しすぎてしまうので、出入り禁止になっていたやつを大人しくさせるということで、かくして連れてきたのだから…そして案の定か。そのつれてきた客は興奮は抑えられず、結局騒ぎが大きくなる前に殴り倒した…つもりだったが、まあ見事にかその日は興行は失敗したりするわけで、しかも賠償するにも手元にはその頃ちょうど何もなく。そこでしばらく働くことになったのだった]