[笑ったまま、至近距離で顔を見合わせる。 今はダーヴィッドを見詰めていて振り返る事のない扉の前を、幾人かが通り抜けて行く気配を感じる。慌ただしい音。その中に、ノーラと、ベアトリーチェの声が混じっている気がした。]何でも。無謀なくらいで、良いんだ。ダーヴィッド。[ダーヴィッドの首筋をなぞる指先が感じるのは、随分とゆっくりに感じられる動脈の音。首輪にかける手が震えた。サファイアブルーの両眼は強く見開かれたまま。]屋上の空なら、知って──鳥?確かに空に鳥は居るかもしれないが。