―礼斗の部屋―
あれ、憶え間違えてた。
[出演予定はないと史人に言われて黒瞳を瞬いた。
安否を気遣うのには、確認のしようもないので何も言わなかった]
季節外れの桜が咲いて、数日で散ってしまう。
その数日の間に神隠しが起きる。
狂い咲きの桜では童女の姿が目撃されて、散るのと一緒に童女もまた姿を隠す。
童女は桜の精かもしれないとか、子供以外でも神隠しに遭うとか。
神ではなく魔に奪われるというのもあったかな。
後はお決まりの集団幻覚説があるのとか。
礼斗さんは、他にどんなことをご存知なんですか。
命に関わるというのは、どういうこと。
[雑誌で読んだ話や、興味をひかれて他の本で読んだ話を提示しながら礼斗に尋ねる。
最初は積極的だったのに、話を聞くうちに頷く回数も減っていった]