─ 集会場 外 ─
[同行を申し出る者はあったかどうか。
いたとしても、特に押し留める事はせず。
集会場の周りをぐるりと一巡りした後、枝の立てられた場所へと向かう]
……団長殿。
『幻燈歌』の再現を求めたなら……ご自身が命を落とす事も十分に考えられたはず。
何故、敢えてこの術を取られた?
[真白の奥に眠る者へ向け、紡ぐのは答えが得られぬとわかっている、問い。
一つ息を吐くと、外套の内ポケットから、携帯するにはやや大振りと言える銀色の十字架を取り出す。
一見すると精巧な細工物だが、長さのバランスや不自然な継ぎ目は、聖具とは違う何かを容易に思わせた。
ともあれ、それを手に修道士としての祈りを捧げ、それから。
ごく静かな──感情の薄い天鵞絨を、改めて、立てられた木の枝に向けた]