[それから恙無く練習は進み、振られる指揮棒に合わせて音色が織り重ねられる。エリザベートの生み出す音も、先の荒々しさはない。二色の鍵盤の上を、滑らかに指が踊った。一切の雑音が失せ、旋律のみが意識を満たす感覚――]