―自宅― …………。[「ただいま」と言う相手を喪って久しい。どうってことは無い。両親共に、病で逝ってしまっただけだ。自分が20の時に父が40で逝き、27の時に母が46で逝った。その後、三人で暮らしていたこの家を離れることもなく、また、誰かを迎え入れることもなかった。21だったか。狩猟で遠出し、他の集落に逗留した際、女を覚えた。けれど事故のようなもので、恋情や愛情にまでは至らず。似たようなことは何度かあったが、最初の女と同じく、伴侶となるまでの関係にはならなかった。]