[――だから、銃は嫌いだ。
ぷつりと体の中に這入って来る其れ。幾ら小さくとも衝撃は伝わり、体がぐらりと崩れた。
銀のチェーンのその下。小さな銀のメダルの裏側に、小さく折り畳まれたカードは在るのに――せめて此れだけは守らなければと思うのが、意識としての最後か。
其の時、反応の遅れた黒の手は、今までの様に彼女を守りはせず、
只、ほんの微かに照準を外させただけで、殆ど変わりは無いのだった。
止めなどささずとも、もう――其の体に動く力は無い。声を出す事も出来ない。
ただ黒が僅かに震えて、床に根を下ろす。カードを取られないように――其れは殆ど力を成さないのに。]