─ 聖堂前 ─
シスターさん、いるかーい!
行商の、クルックだ!
シスターさーん!
[がんがんと無遠慮に扉を叩く音は風の響きの中でもよく響く。
その音と声に気づいた者が応対に出たならば、横柄な態度で以前ここを何度も訪れていた行商人である事を語り]
宿をとる前に挨拶を、と思ったらこの天気でなあ。
すまんが、泊めてもらうぜ。
……ああ、案内はいらねぇよ。
後で、メシと酒だけもらえれば。
[こう言うと、勝手知ったる様子で奥へと入り込み。
客室として普段から整えられている一室を選ぶと、さっさとそこにこもってしまうのだが]