[美人の呟き>>150の真意を訊くことなく、中庭の片隅への逃亡した後。
懐から取り出したハンカチを噛み締め――るには口元を覆う布が邪魔なので、握り締めながらお菓子の生る木に近付く魔人>>156を睨んだり、彼の去った後にロラン>>157へ砂糖代わりに木から採った白い花の砂糖菓子を贈ったり、そんな一幕を経て、ひたすらに木を見守り続けていた。
無論、その異変にも気づいていたのだが、]
……アナちゃんアナちゃん、無理させちゃいかんよぅ?
木が実をつけるというのには、本来は長い時間をかけて己の生体エネルギーを費やすべきなんじゃ。
それなのに、こんなに短時間で……。
[滔々と語っても、お菓子好きのブラウニーはやはり大丈夫の一点張り。]
え?
皆にお菓子を食べて欲しくてけなげに頑張っているのに邪魔するのか?
――そそそそ、そんなことないよぅ?
じいちゃん、じいちゃんお菓子の生る木ちゃんのことを思ってね?
[そうして結局は、言い負けたのだった。]