人狼物語 ─幻夢─

69 赤き燈灯る崖の上で


書生 ハーヴェイ

―昔々―

[今まさに息絶えようとしている男がいた。
妻は既にこの世にない。築き上げた財産も最早意味はない。唯一気がかりだったのは、一人残される息子のことだけ。
意識が遠のく中、彼は息子に言い遺した。
『或る村の近くにある崖の上に、屋敷を建てて住んでいる男がいる』
『彼は私の弟に当たる男だ』
『何かあったら、彼を頼りなさい。きっと悪いようにはしないだろう』
伝え終えた男は、満足してこの世を去った]


[彼は知らない。愛する一人息子が、一足早くあの世へ旅立っていたことを。
今際の際、無言のままずっと手を握っていたのが、彼を殺した“友人”であったことを]

(280) 2011/12/14(Wed) 00:22:15

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