[視線を向けられたヴィターはここがチャンスやというように目配せ、心なしかがんばれといわれたような気がした。
口ぱくで、ジェスチャーで「アタックや」と、それを受け取ることができたのは長年の付き添いの結果だろう。
決心をしたようにディル導師に向き直り]
あの、ディル導師…
[おずおずと、話しかけて、俯き加減に見上げる瞳には決意とか恋慕の色とか含んでいた。
冷静になれば、みんなの見ている前、しかもこんな時におかしいと気づけたのかもしれない。
でも今は、先ほどの出来事とか、長年の思い、さらにしばらく会えなくなるという焦り、そのために冷静な判断をできていなかった]
お話したい、ことがっ!
[その体は大人の姿に、今が特別な時だから]