―回想―
「ただの傍観者で居れば良いんだ。報告は、ここで私に会えた時だけでいい」
[そう言われて渡されたお金に、頷いたのはトビー自身。
名前も知らない女の子を、見える場所で追いつづけた。
スラムの子供ぐらいしかわからないような、道とも言えない道を使って、偶に夜に紛れて依頼主を探す。
貰えるお金はその時に貰う。
あの人は悪い人。そう思っていたし、それは女の子が浚われた時によくわかった。報告が使われたなぁと思った。
結局女の子は逃げ出したけど、あの依頼主がいなかったから、トビーは今ここにいる。
それからようやく、ヘンリエッタの名乗りを聞く。名前がわかった。
自分の名前も言う。
不信な目を受けても、端っこ好きなのとか、そういう言葉で笑う。
初めて食べた食事は、面倒だけどおいしいものだった。
そういうものは、大好きだ。
ここなら、寝ていてもお金を奪われることもないだろう。]