[コホンと席をすると、室内に入ってきた皆を見渡して]
さて、そろそろ始めなきゃね。
きっと、これが婆の最後の『狼狩り』になるだろう。
誰から始める。狼かどうか見分けて欲しい者、前に出な。
何故こんなことをするのかって、疑問を感じたものもいるだろう。
でもね、こんな方法しかないのさ。
古くから伝わるこれが『狼狩り』の祭事。
決められた人数の贄により、狼に制約を与える。
逃げ出さないこと、祭りが終わるまで、必ず贄から喰らうこと。
その代わり、人間たちが負けたら狼に自由を与えること。
そしてこの『狼狩り』の間、妖精たちは人の味方をし、狼の存在を密告すること。
そうさ、今回は婆がその巫女だ。
ただし妖精が力を貸してくれるのは、一日に一人ずつだよ。慎重に選ぶんだね。