[アーベルの方を確認する時、視線を向けないようにしたつもりだったけども、荒事に慣れてるわけでもない子供の行動はうまくいっていなかったようだ。
ただ、そこにナイフがあることは確認できた。代わりにそれを確認したことをヴィリーに知られることになったのだろうか。
アーベルの言葉があるとヴィリーの方を見たまま、返される返答にひるみそうになるが]
だから……
[相手が熟練した相手なら、いくらアーベルからナイフの使い方を習っているとはいえそれは獣相手のこと。
多少の喧嘩の仕方とかも教えてもらったかもしれないが、大抵は逃げるようにと、女の子なのだからとそう教えられていた。
でも今は、立ち向かうときで、不意打ちの一瞬だけ、自分にチャンスがあるとするなら]
そのために…
[アーベルの腰に手を伸ばし、ナイフを手際よく引き抜く。
そのまままっすぐにヴィリーの方へと駆け寄り、その顔を狙って突きつけた]