― 回想/宿直室>>283 ―[うつむいて唇嚼んだ桜子をはげますように、肩に学長の手がのった]――そ、う、ですよね……大切なこと……[こくり、と忠告をありがたくうけとりながらも、大切なことを見極めるのが難しい。 生き残ることがすべてだと思うなら誰を蹴落としても生にしがみつくべきだし。 誰かを信じたいのなら信じ続ける強さが必要。 そんなことを直に決められるはずもないけれど、桜子は学長に力なく頷きを返すしかなかった]―回想・了―