─ 広間 ─
[アベルさんに運ばれて身体がふわふわ浮くんは、夢ん中で別のもんに変わっとった]
[身体の浮遊感は残っとる。
けど、その周囲にあるんは、水。
浮遊感を生んどった水は一気に枷んなって、うちは夢ん中で水ん中に沈んでもうた。
もがいても浮かばんくて、どんどん息が苦しくなってく。
そこまではちっさい時ん記憶そんままやったんやけど、そっから先がちょい違った。
歪む視界に映る、黒い影。
それが何なんかははっきりせぇへん。
確認しようとすんねけど、歪んだ視界がはっきりすることはあらへんかった。
そんうち息苦しさがもっと増して、夢ん中で意識飛ばしてもうてん]
[夢見とる間、うちは眉根寄せてずっと魘されとった。
水ん中の夢やったから、唸るだけで声にはならへん]