― 夢の中 ―
[街の屋敷に居た頃は、自分がちょっとした事で寝込んでしまうと、世話係の使用人が叱られたりすることもあって、段々、少しくらいの不調は黙ってやり過ごそうとする癖がついた]
[村に預けられる時に、父親から、里親となってくれる人達に迷惑をかけないように言い聞かされた事も、その傾向に拍車をかけて…だから、その日も、庭に出ると言った時には、もうすでに胸が苦しくなりかけていて]
ケホ…はあ…
[こういう時にはいつも隠れる庭の片隅で声を殺すようにして咳き込んでいたら、駆け寄ってくる足音が聞こえて>>159慌てて口元を押さえた]
……ソーヤ。
[村に来てから出来た初めての友達は、いつも元気でまっすぐで、時々それがとても羨ましくてたまらなくなる。こんな時は特に]
…何でも、無いよ…大丈夫…
[そんな想いも隠したくて目を逸らしながらごまかそうとしたら、ものすごい勢いで、その強がりを一蹴された>>160]