[クレメンスから掛かる声に一度其方に顔を向けて]
ただいまです、おにいさま。
[いつものように笑みを浮かべることが出来ぬまま声を返す。
皆殺し、などとアーベルの口から漏れれば
ライヒアルトの手>>287と重なる女の其れがピクと震える]
……考えなしでごめんね。
[詰所であった事を思えばおとうとの考えが正しかったと知れて
素直に小さな声で彼にあやまる。
繋いだ手から伝わる温度に励まされる気がしたけれど
常よりその温度が高いように感じられもして]
ラーイ、もしかして、まだ熱があるの……?
それとも、私の手が冷たいだけ……?
[菫の眼差しはライヒアルトの手へと落とされた]