― エントランス ―
[静けさの中、血みどろのふたりを見下ろしている時、ジラント>>21の顔に微かに動きがあったことに気付く。
未だ命があったのだとは思えども、そのくちびるが形作った言葉までははっきりと読めなかった。
自分が零した言葉に、何か言おうとしていたのかと、それも解らないまま――。
やがて静寂を破ったのは、背中越しに響く足音、そして名前を呼ぶ声>>176。
くるりと振り向いた先、血を被った姿を見て瞬いた。]
アレーナ!
あたしは何とも無い、けど、貴女こそ――…
[実際その時の彼女の右肩には傷があったのだが、それ以上の手傷を負っているように、初めは勘違いした。
けれど彼女が近づくにつれ、思ったほど酷い怪我ではなさそうなことに小さく息を吐く。]