─ 雪原 ─
[遠く、いくつかの声を聞く。
諦めないひとたちの声。
それと共に響くのは、遠き刻からの声。
欠けさせて沈めた記憶──かつて遭遇した同じ事件の場での出来事。
あの時は、自分の力をそのまま受け入れて、使っていた。
それが、自分の成すべき事だと信じて疑わなかった。
──心を寄せていた者が、月のいとし子である、との結果を見るまでは。
得た結果をどうしていいのかわからなくなって。
その時、初めて己が在り方に『迷い』を持った、けれど。
それまで進んできた道を変える事はできず、導き手たる者にその事実を伝えて。
後の事は、委ねた]