親父。
記憶を失っていることが影響しているとは、考えられるか。
[記憶喪失という相違が、目覚めないことに関わっているのかと思い至った。
父が彼女の記憶を戻そうとしていなかったから、自分も同じく戻そうとはしてこなかったけれど。
問いかけに、その可能性は否定できないと父から返った答えに、眉を顰めて目を伏せる。
考えられる理由は幾つも挙がり、彼女自身が目覚めを拒否している可能性も高く思えるが]
…アル。何故、起きない。
起きられないのか、それとも起きたくないのか。
[特別な力も血筋も無いけれど。自分の出来ることなら何でもすると思っているのに]
何かあるなら俺を頼れと言っただろう。
このまま、お前に頼ってばかりで何も返させんつもりか。