[歪んだ笑みを見つめていたら、いつの間にか消えていった。
残った残滓にまた無防備に、触れればその分だけ嫉む黒い感情が内に灯る。]
……全部が全部、そうだったわけじゃないでしょうに。
[ため息つく。どうしても、アレを見てると過去を思い出して心が騒ぐ。
10年来の同僚。『アリシア』がなったかもしれない成れの果ての一つ。
これも業なのかなぁとか思いながら、一人また、取り残されればする事もなく。]
…とりあえず、行きましょうか。
[業の深さから、自らもまた暫くは彷徨いあるかなければならないような気はしている。]
ジョエルさんはほっといても、そのうちまた会えるだろうし…。
[また毒を吐くようだったら、今度は引っ叩きでもしようかと思いながら歩き出す。
彼の為に変わってしまった赤い目は、どうも長いこと戻りそうに*無かった。*]