[手放した意識は身体のある場所へと引き寄せられる。
アルカの声>>249がゆめうつつに聞こえるものの
身体から抜け出したままの意識は彼女に見える形で反応を示すことは出来ない。
うたたねの枕元で語られるものを聞くようなおぼろな状態ではあるが
彼女の反応>>250から眠りについた者が目覚めゆくのだと知れて安堵を覚える。
両親が泉に置き去りにしたかった『魔』は封じられるべき、と思い
己が目覚めなければ両親の願いが叶う、と
十二年越しに気付いてそれを叶えようとするけれど
アルビーネの力のみではそれもうまくいかず
意識を完全に閉ざすことも出来なかった。
アルカの気配が遠ざかるのが知れて
医師の両親が互いを案じ無事を確認し
眠り続ける者を心配する声音が仄か聞こえていた。
考えればわかることなのにその時は余裕なく
眠れば周りに危険が及ぶことも怖がらせることもないのだと信じて
過去の想いに引きずられながらも己の意志で選んだはずだった]